13-4

「主の祈り」 (5)
PANEM NOSTRUM QUOTIDIANUM DA NOBIS HODIE.
パーネム・ノストルム・クォティーディアーヌム・ダ・ノービース・ホディエー

4.毎日「定められた」パン 

 特別な言葉を使うことで聖句からの引用であることを暗示させたかったと思えます.ではその聖句とは何でしょうか? 新改訳聖書の脚注にあるように箴言 30:8であり,そこでは二つのことを願っています.一つは「不真実と偽りから遠ざけてください」.もう一つが「(貧しさも富も私に与えず)ただ,私に“定められた分”の食物で私を養ってください」であり,主の祈りのここの奇異な言葉から,弟子たちは箴言のこの祈りを思い浮かべたに違いありません.
 なお,ここで「定められた分」と訳された語は,同じ箴言の 8:28 では「境界」,同じく 31:15 では「用事」と訳されています.
 通常この語は申命記 4:1, 5:1, 6:1 のように「おきて」と訳され,出エジプト記 5:14 では「定められた(れんがの)分」です.
 これらのことを考慮すれば「日ごとの」(この訳はラテン語訳にしたがっている)と訳されていますが,毎日「定まった」というニュアンスが含まれている,とわかります.すなわち「神のご配慮のもと,各自に割り振られた分を求める」「過不足なく必要なものを神に懇願する」ことです.