USE OF LEXICON; SOLUS, UNUS, IPSE

第 20 章

レキシコンの使用

  第1章でポッツの『コンコーダンス』の末尾の単語表に 3,500の見出し語が掲載されていることを述べておきましたが,辞書――より正確にはレキシコン(lexicon) ――が必要であることは明らかです.本書の語彙表から一本立ちした語彙研究へと段階的に移行するために,本書の“各章”に示されてこなかった語を含むラテン語→英語〔日本語〕の練習を今から始めます.章末の語彙は,神学上の重要で中心的な言葉と初年度の学生が見いだすのが困難と思える言葉で構成させて,やはり示しておきます.

 チャドウィックの『レキシコン』は絶対に必要です.真剣な学習者はこれを直ちに購入し,そうしてできるだけ多くの時間使用することによって,そのかなり高い値段を安いものにしてしまうべきです★1

 ポッツの『コンコーダンス』が実際にはラテン語原典のコンコーダンスであり,英語はその化粧板みたいなものであることにも注意しなければなりません.……★2.そこで,ポッツの『コンコーダンス』にはスヴェーデンボリの用法に関する豊富な情報が含まれています.第巻目の末尾にある“ラ=英”語彙集は,スヴェーデンボリ自身のラテン語をもとにしてその英訳語を見つけ出すことができるので特に価値があります.

 “簡単な”言葉ですら,レキシコンは,惜しげなく,気おくれなしに使用すべきです,常にもっと学ぶべきものがあるとの理由からです.特に,スヴェーデンボリの教えを学んでいる者は,ある単語を,その同族語をよく知っているから,理解していると思いがちです.この類いの表面的な類似性は,神学的にも同じですが,言語的に信頼できません.

 レキシコンで単語の掲載箇所を知るには,その辞書形を知るか,導けなければなりません.これは名詞では主格単数,動詞では直接法能動態一人称単数現在(第一主要形)です.本書の語彙は標準的なやり方にならっています.

 よいレキシコンは,語根が不規則な場合の救済手段を備えています.その通常の仕組みは“相互参照”です.例えば“tuli, cf. fero”★3や“foret, cf. sum”★4のようにです.

 単語の掲載箇所がわかったら,その中心的な意味とその意味の範囲が何であるか定めるための時間を取りなさい.最初に掲載されている意味は,歴史的に最初の意味(大部分の古典的なレキシコンはこれです)か最もよく使われるかまたは基本的な意味です(『チャドウィック』はこれです.ただ一人の著者の著作★5では歴史的な基準の重要性は少ないからです).このことからは通常,いろいろな意味の関連性を知ること,またそこから,その単語の明示された意味と同じく,それが含意する意味を得ることができます.レキシコンからはまた,与えられたどのような文であっても,翻訳する上で,レキシコン制作者が述べなかった訳語を用いるのが最善であることも示唆されます.

 スヴェーデンボリは意識して,自分のラテン語の語彙に,固定した(自分で仮定した)語源的な評価を下して,これを用いた証拠があります.例えば,『天界の秘義』の索引作りでは,percipio〔の項目〕のもとにその言葉の文を含めず,capio に含めています★6.それで,学習者には“単語を切り離して”その構成要素に注意することを強く勧めます.

特別な形容詞:よくある7つの形容詞は標準の変化とは少しばかり異なる語形変化をします.それらは,単数属格の語尾が -ius で,単数与格が -i で終わる第一第二変化形容詞です( illi と比較してみなさい).それらの複数形は規則的です(§111).

 それらの形容詞は alius「別の」,alter 「(二つのうち)もう一つの」nullus「(だれも・何も)〜ない」,solus 「ただ一の」,totus 「全体の」,ullus 「ある〜」,unus「一つの」です.

 複数形は規則的なので, unus の単数形の語形変化表で十分でしょう.

男性 女性 中性
主格 unus una unum
対格 unum unam unum
属格 unius unius unius
与格 uni uni uni
奪格 uno una uno
                                   

 alius にはさらなる不規則性があります.その単数属格には alterius (“alius ”のような気もしますが)が用いられ,中性の単数主格と対格は aliud です(p116).

 このリストに ipse, ipsa, ipsum を加えてもよいでしょう,男性形主格単数を除いて unus に似た変化をします.これは強意,強調の形容詞であり,しばしば「まさに」(very),またはある語に続けて「そのもの」((it)self)と訳されます.例えば, ipsa veritas は「まさに真理」または「真理そのもの」と訳せるでしょう.再帰的な形が要求されるときを除いて,Ipse はスヴェーデンボリが“主”について述べるときに用いた唯一の代名詞です.このように用いるとき,大文字で始められます★7

語 彙 [20]

(the adjectives above, and)
caveo, -ere, -cavi, cautus  (動)用心する,世話する beware, take care, avoid
coram (prep. with acc.) (前:対格)〜の面前で before, in the presence of
ignis, -is m. (名)火 fire
igneus, -a, -um (形)火のような fiery
quoniam (conj.) (接)〜であるから because
ut (linking members of a comparison) (副)〜のように as, in the form of

練習問題

A.訳しなさい.  

 1. Caveat sibi quisque, ne cogitet, quod Sol mundi spiritualis sit ipse Deus; Ipse Deus est Homo; primum procedens ex Ipsius Amore et Sapientia est igneum spirituale, quod apparet coram angelis ut Sol: quare cum Dominus Se manifestat angelis in Persona, manifestat Se  ut Homo, et hoc quandoque in Sole, quandoque extra Solem.  (DLW 97 )

2. Quoniam interiora hominis quae ejus voluntatis et intellectus sunt, similia sunt coelis quoad gradus, est enim homo, quoad interiora quae mentis ejus sunt, coelum in minima forma, ideo etiam illorum perfectiones similes sunt. (DLW 203)

C.今日学んだ形をいつものように適当する語形変化表に記入しなさい.



★1 『レキシコン』は現在翻訳中.その訳書が出版されたとき,日本のスヴェーデンボリ研究は飛躍的に発展することでしょう.
★2 ここに英語で別単語のものが同一のラテン語の個所にエントリーされている例が述べられていますが省略します.(しかしその例について (訳者は)理解不能!)
★3 『羅和辞典』では tuli, pf.[fero]としています.すなわち tuli はfero の完了(pf. )です.[ ]は語源または原形を表わします.
★4 『羅和辞典』にはありません.チャドウイックの『レキシコン』には,FOREM -ES -ET, etc. の見出しがあり alternative form of essem, -es, -et : see SUM の説明があります.(すばらしい辞書だ!)
★5 もちろん,スヴェーデンボリの『神学著作』.
★6 遺稿として出版された『天界の秘義・索引』(ラテン原文,1815年,ロンドン)にも英訳書『天界の秘義・索引』(1976年,SS)にも,このどちらの項目も掲載されていません.ドール博士が独自に研究した成果なのでしょうか?
★7 すなわち,Ipse 「その方」とあれば,スヴェーデンボリの著作では  “主”のことです.