DEGREES OF COMPARISON; DEPREPOSITIONAL ADJECTIVES

第 11 章

比較級,前置詞からの形容詞

 ラテン語と英語は、形容詞の属性を比較して表現する方法でいくぶん似ています.どちらの言語にも比較に二つの階級があります.一つは比較級と呼ばれ,そこに二つのものが存在して含まれるときに用います.もう一つは最上級と呼ばれ,そこに三つかそれ以上のものが存在して含まれるときに用います.例えば――

(原級)  This is a strong thread.(これは強い糸です)
(比較級) This thread is stronger than that one.(この糸はあの糸よりもさらに強い糸です)
(最上級) This is the strongest thread of all.(これは全部の中で最も強い糸です)

 英語では,多くの普通の形容詞は,このように原級に -er や -est を加えることによって,それらの階級を作ります.“good, better,
best”のように不規則なものがいくつかあります.長いかまたはラテン語に由来する形容詞の大部分は,“more”や“most”を先行させることによって比較級・最上級を作ります――
例えば“more rational (さらに理性的な)”や“most rational
(最も理性的な)”です.この仕組みは,三つかそれ以上の音節のどのような形容詞にも用いられる傾向があります.

 ラテン語にも似た仕組みがあります.副詞 magis (“more,さらに”)と maxime (“most, 最も”)をその形容詞の原形に先行させるのです.しかし,この仕組みはほとんど用いられないで,多くは単数属格の語尾に母音が先行する少しばかりの形容詞に用いられるだけです(§122)★1

 規則的な方法は,形容詞の語幹に,すなわち,単数属格の語尾を落とした形にある要素〔 -ior と -issimus 〕を加えることです.こうして――

原 級 比較級 最上級
男女性 中性
〔第一第二〕 carus, -a, -um       carior, carius       carissimus, -a, -um
〔第三〕 lenis, -e lenior, lenius    lenissimus, -a, -um

 この方法で作られる(§115)形容詞の比較級の二つの語尾★2原級の変化にかかわらず★3第三変化名詞と似た変化をします(§116).すなわち,単数奪格の語尾は -i でなくて -e ,中性複数主格と対格の語尾は -ia でなくて -a ,そして複数属格の語尾は -ium でなくて -um です★4

 比較級では, -ior の形に格語尾が加えられます.こうして interior の単数属格は interioris,その中性複数主格・対格は interiora などとなります.語尾が -er のすべての男性,それと -lis のいくつかの形容詞〔の最上級〕は不規則ですが,これは第14章で説明します.

 どのような形容詞であっても最上級は,やはり原級の変化にかかわらず,第一第二変化の形容詞のもつ規則性があります.

 よくある形容詞で比較級・最上級の不規則なものがいくつかあります(§123).最もよく出てきそうなものは次のものです――

原 級 比較級 最上級
bonus  (善い) melior, melius   optimus, -a, -um
magnus (大きい)   major, majus maximus, -a, -um
malus  (悪い) pejor, pejus pessimus, -a, -um
multus (多い) __, plus plurimus, -a, -um
parvus (少ない) minor, minus minimus, -a, -um

 plus は,男女性の単数を持たないとの理由から,いっそう不規則です.学習者は,次の形を見分けることを学ばなくてはなりません,これらは古典的ラテン語で保証されたものです.

単数(中性) 男女性・複数 中性・複数
主格 plus plures plura
対格 plus plures plura
属格 pluris   plurium plurium
与格 ―― pluribus pluribus
奪格 plure pluribus pluribus

 スヴェーデンボリがよく用いた形容詞のカテゴリーに“前置詞からの形容詞”と呼ばれるものがあります――前置詞から導かれた形容詞であって,それらは次のものです――

(前置詞) 原級 比較級 最上級
intra(〜の内に)★5 internus★6  interior★6 intimus★6
(内なる,内部の) (内側の,内的な) (最内部の)
extra (〜の外に) externus★6 exterior★6 extermus★6
(外なる,外部の) (外側の,外的な) (最外部の)
infra (〜の下に) inferus inferior infimus
prae (〜の前に) ―― prior primus
prope (〜の近くに) ―― propior proximus
supra (〜の上に) superus superior supremus
ultra (〜を超えて) ―― ulterior ultimus

 ……★7

 比較級の形容詞の後ろで,ラテン語の quam は英語の“than(よりも)”と等しくなります(§118).

Angeli sunt fortiores quam homines.
「天使たちは人間たちよりも強い」

 比較の第二要素(ここでは homines)と第一要素(ここでは Angeli)の格は一致しなくてはなりません(§119).この一致は sicut(〜のような)によって結び付けられる二つの名詞の間にも保たれます.

 比較級と最上級の両方とも,比較の第二要素が表現されないか,含意されないで用いられるかもしれません〔独立用法〕.それらの場合,その意味は次のようになります――

Angeli sunt fortiores.
「天使たちは比較的に強い,あまりに強い」
Angeli sunt fortissimi.
「天使たちは確かに非常に強い」

 比較級と最上級は,原級のように実詞として用いられることがあります(第章参照).

Sapientissimi sunt felicissimi.
「最も賢明な人々は最も幸福です」

Interiora sunt superiora.
「さらに内的なものはさらに高いものです」


                        

語 彙 [11]

autem (conj.) (接)しかし but, however
ita (conj.)   (接)そのように,したがって thus, so
parum (adv.)  (副)少し a little, too little
quare (conj.) (接)それゆえ therefore, wherefore
seu, sive (conj.) (接)または(すなわち) or
vel_vel_ (conj.) (接)〜かまたは〜 either_or_
sicut (conj.)   (接)〜のように★8 as, like

この課に出てくる形容詞もまた学んでください.

練習問題

A.訳しなさい(まだ学んでいない単語でもその意味を推定できるはずです).

 1. Per creationem, homo est in mundo spirituali et in mundo naturali.
Mundus spiritualis est ubi(= where) sunt angeli, et mundus naturalis ubi sunt homines.
Et quia homo ita creatus est, ideo(= therefore) est homini internum et extrenum;

internum per quod sit in mundo spirituali, extrenum per quod sit in mundo naturali.
Internum est quod vocatur internus homo, et externum quod vocatur externus homo.
(cf. NJHD 36)

 2. Apud unumquemvis(= each, every) hominem sunt interiora et exteriora;
interiora sunt interni seu spiritualis hominis, exteriora autem sunt externi seu naturalis hominis;
sicut interiora formata sunt, et cum exterioribus unum faciunt(=make a one), ita homo videt et percipit.
(cf. HH 351)

 3. 上の文 1. の名詞節の“格”を明らかにし,説明しなさい.

C.今日学んだ形をいつものように適当する語形変化表に記入しなさい.



★1 -eus, -ius のように母音と us で終わる形容詞には,固有の比較級,最上級がありません(参考:大学書林『ラテン語四週間』169,東洋出版『新ラテン文法』§408).
★2 比較級の -ior と -ius の二つです.
★3 すなわち,「第一第二変化と第三変化に関係なく」ということです.
★4 長たらしく説明していますが,第三変化名詞で二つある変化のうち“子音幹”の変化の方です(もう一つは“-i幹”)(§55)
★5 ここは inter(〜の間に,〜の中に)でしょう(『大西』p237).
★6 スヴェーデンボリはそれぞれ3段階の“内”と“外”を定めています.
  すなわち――
interior(英:interior)<internus(英:internal)<intimus(英:inmost)
exterior(英:exterior)<externus(英:external)<extermus(英:outmost )
なおInternus homo は「内なる人」,Sensus internus は「内意」です.
★7 ここには英語へ翻訳するときの次のような注意書きがあります.本文からは除いた方が適切でしょう.
「比較級を翻訳するとき,英語の“inferior”と“superior”は効果的であり,“worse”と“higher”は比較的おおまかに等しいといえますが,〔英語の〕“exterior”と“interior”は原級であることに注意してください.非常に形式的に“This is interior to that”と言う人がいるかもしれませんが,そこには比較級の残骸だけがありま  す〔比較の意味はありません〕」
★8 『羅和辞典』では副詞(adv.)だけとなっていますがスヴェーデンボリは多くの場合“接続詞”として特に,「〜の限り」「〜すればするほど〜」の意味で使用しています.
  なお,この意味の sicut の例文としては――
cuivis est affectio bona, sicut fugerat mala sicut pecata(『神の摂理』61)
receptaculum fit imago Dei sicut recipit(『真のキリスト教』48:7)