THE NOUN : ABLATIVE ; PREPOSITIONAL PHRASES
THE VERB : PRESENT PASSIVE INFINITIVES
第 7 章
名詞:奪格 ; 前置詞句
動詞:不定法受動態
ラテン語の奪格は,斜めの関係――いわば,脇に離れている――のように思えます.すべての格の中で,最も広く,いろいろな使われ方をします.おそらく,多様な状況に対応できる格として単純に覚えておくのが最善でしょう.その特定な機能については個々に学ばなくてはなりません……(§189以降).
前に(第4章)述べましたが,前置詞句には形容詞的な機能も副詞的な機能もあります.対格の前置詞句には動作が含まれ,やや副詞的な傾向があり,奪格の前置詞句には静的な関係が含まれ,どちらかというと形容詞的な傾向があります.
格そのものが意味を伝えることを最もよく知ることのできる例は,前置詞 in とともにあるときです.
Ambulabat homo in urbe(奪格)は「人間が都市の中を歩いている」ことを意味し,その一方,
Ambulabat homo in urbem (対格)は「人間が都市の中へ歩いて行く」ことを意味します.奪格の in は“内部”という場所を示しますが,対格の
in は外側から内側へと境界を横切ることを示します.
奪格の比較的よくある用法は,受動態動詞の動作主文法★1を示すことです――「彼の車は素人(しろうと)によって修理された」.ラテン文では奪格に前置詞 ab(続く語の頭字が母音のとき)または a(続く語の頭字が子音のとき)を加えて用います.こうして,Angeli videntur a Domino は「天使たちは主から(により)見られている」を意味します.
これは手段の奪格と区別されるべきです.動作主は知覚し,行動する存在でなくてはなりません,手段は器具または道具です.手段は前置詞なしの奪格だけで表わされます(§195).Hic liber manu scribitur は「この本は手によって書かれた」を意味します.
英語では手段を表わすために,特に手段が道具であるとき,しばしば“with”を用います.「彼はそれをレンチでゆるめた(He loosened it with a wrench.)」.英語ではまた“with”を何かが行なわれる方法を示すためにも用います――「彼はそれを怯え,震えて(びくびくしながら)ゆるめた(He loosened it with fear and trembling.)」.後者の意味を表わすために,ラテン語では奪格とともに前置詞 cum を用います――Locutus est cum amore, 「彼は愛をもって話した★2」(He spoke with love.)
要約すれば,ラテン語は動作主(ab+奪格)と手段(奪格のみ)と方法(cum+奪格)を区別します.英語は動作主と肉体の手段に対して一つの構文(by)があり,生命のない手段や方法には別の構文(with)があります.この類似点と相違点を一緒にすると,混乱のもとになります.
奪格の形は次のものです.
| 1 | 2男 | 2中 | 3 男女 | 3中 | 4 | 5 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 単 | vita | angelo | verbo | amore | corpore | spiritu | facie |
| 複 | vitis | angelis | verbis | amoribus | corporibus | spiritibus | faciebus |
すでに現在不定法能動態を習いました.不定法受動態現在は割合に簡単です.その形は次のものです.
| 1 | 2 | 3 | 3-i | 4 |
|---|---|---|---|---|
| spectari | videri | duci | capi | sciri |
語尾はすべて -i であり,対応する不定法能動態から作られているとわかるでしょう.最初の二つと第活用は,不定法能動態の最後の -e が -i で置き換えられています.第活用は -ere が -i によって置き換えられています.
意味としては,“to see”(見ること)は不定法能動態,“to be seen”(見られること)は不定法受動態です.ラテン語も同様であり,Angeli possunt videre は「天使たちは見ることができる」を意味し,
Angeli possunt videri は「天使たちは見られることができる」を意味します.
語 彙 [7]
| a (before consonants) ★3 | (前:奪格)〜から,〜により |
| ab (prep. with abl.) | from, by (agent of passive) |
| e (before consonants) ★3 | (前:奪格)〜から |
| ex (prep. with abl.) | from, out of |
| cum (prep. with abl.) | (前:奪格)〜に with, accompanied by |
| de (prep. with abl.) | (前:奪格)〜から,〜について down from, from, concerning |
| in (prep.) with acc. | (前:対格)〜の中へ into |
| with abl. | (奪格)〜の中で within, in |
| forma, -ae (f.) *1 | (名)形,構造 form, basic (working) structure |
| formatio, -onis (f.) | (名)形成すること process of forming or of being formed |
| formo, -are, -avi, -atus *1 | (動)形作る,つくる to shape, form |
| reformo, -are, -avi, -atus *2 | (動)再びつくる,つくり直す,新しくする re-form, form anew |
| reformatio, -onis (f.) *3 | (名)改心,改造 process of re-forming or of being re-formed, reformation |
*1 “affection”の語源.
*2 “affect”の語源.[ad+facio]
*3 “calorie”(カロリー)の語源.
*4 “order”の語源.
*5 “vivid”の語源.
練習問題
A.和訳(英訳)しなさい.……
| Terra sole creatur a Domino, et a sole calorem et lucem recipit. Coelum e sole coeli creatur a Domino, et angeli coeli a Domino amorem et sapientiam recipiunt; homo est coelum et terra in forma; apud hominem est terra et est quoque coelum. (cf. H.H. 89f. ) Terra creatur ab amore Domini et a sapientia Domini. Dominus ex amore et sapientia solem creavit, et ex sole creavit terras. Potentia formationis videri potest in hominibus; homines sunt formae amoris et sapientiae, et possunt reformari. Potentia reformationis est a Domino; homo vitam et potentiam accipit a Domino per solem coeli. |
C.今日学んだ形をいつものように適当する語形変化表に記入しなさい.
注
★1 【文法】agent, 動作主.ある行為(作用)をする(能力のある)人(もの).
★2 loquor(話す)は形式受動態動詞(本書第24章, §132)なので見かけは受動態完了の形をしていますが,能動態完了として訳します.
★3 ab, ex のいずれも,次に続く語の語頭が子音のとき,それぞれ a, e となります.